第34回ハマチの会のご報告――LD・DCDから考える「嫌いにならない」支援の形――


12/19に『第34回ハマチの会』が開催されました。 この会は、3ヶ月に一度、児童福祉に携わる専門家が集まり、現場の知恵を共有する貴重な場です。「定期的に開催しないとメンバーの安否確認すらできない(笑)」という冗談が飛び交うほど、アットホームながらも熱意あふれる時間となりました。

当日の流れに沿って、特に印象に残ったお話や学びを凝縮してお伝えします。



1. 福岡の福祉現場を取り巻く「今」と「これから」

冒頭で、代表理事の寺川より、令和8年度の報酬の一部改定や、急増する新規事業所の抑制といった持続可能なサービスに向けた国の動きが共有されました。 特に印象的だったのは、「自分たちの事業所は何のために存在しているのかを明確にする」という点です。単にサービスを提供するだけでなく、足元を救われない確固たる支援体制を築く重要性を再認識しました。



2. 学習紹介とDCD(発達性協調運動障害)を深掘りする

今回のメインテーマは、吉田さんによる「LD(学習障害)とDCD(発達性協調運動障害)」の講義でした。 DCDは、知的な遅れはないものの「極端な不器用さ」が目立つ障害です。吉田さんは、その感覚を非常に分かりやすい言葉で表現されていました。

「僕たちは同じ地球に住んでいるけれど、彼らは無重力状態で運動をこなしているようなイメージ」

重力を感じ、自分の体の位置を把握することが難しいため、ボタン留め、靴紐結び、定規やリコーダーの使用、さらには姿勢を保つことさえも、多大な努力を要するのです。




3. 印象的なことば:「嫌いにならない支援」の大切さ

講義の中で最も胸に響いたのは、支援のゴール設定についてのお話でした。

「苦手なことが完全に得意になる支援はない。大切なのは、苦手だけれども嫌いにならない支援」

不器用さゆえに、体育の授業でおふざけをして回避したり、自信を失って不登校に繋がったりするリスクがあります。「できるようになること」を目的にするのではなく、スモールステップで「楽しみながら経験を積む」こと。これこそが、子どもたちの自己肯定感を守る鍵であると学びました。



4. 新しいアプローチ:本人が目標を決める「CO-OPアプローチ」

具体的な支援法として紹介されたのが「CO-OPアプローチ」です。 これは、大人が「鉄棒を練習させよう」と決めるのではなく、「子ども本人がやりたい目標(例:自転車に乗れるようになりたい)」を立て、どうすれば解決できるか作戦会議をする手法です。 本人が答えを導き出すプロセスを経験することで、自己効力感が高まり、他の課題にも前向きに取り組めるようになるというお話は、今後の支援の大きなヒントになりました。



5. 現場の課題と多職種連携の力

後半のQ&Aセッションでは、数字の概念形成に悩むケースや、訪問看護と連携した家庭でのフォローなど、具体的な事例が次々と出されました。 福岡でも「5歳児健診」に専門家が介入する流れが始まろうとしており、早期発見・早期支援の体制が整いつつあります。しかし、診断後の「受け皿」不足という課題も浮き彫りになり、私たち地域の事業所がどう連携していくべきかが問われています。



おわりに

今回のハマチの会を通して、「診断名」を見るのではなく、その子の背景にある「生きづらさ」に寄り添い、適切な「つなぎ先」を共有する重要性を強く感じました。

次回のハマチの会は1月16日に開催予定です。 新年度に向け、また新たな視点をアップデートできるのが今から楽しみです!



( 補足説明 ) 

不器用な子どもたちの感覚を理解するために、「利き手ではない方の手で、しかも鏡越しに複雑な迷路を書いている状態」を想像してみてください。どれだけ頑張っても思い通りに手が動かないもどかしさ、そして「もっと丁寧に書きなさい」と言われる苦しみが見えてくるはずです。私たちの支援は、その迷路を代わりに解くことではなく、まずは「鏡越しでも書けたね!」と一緒に笑い、少しでも書きやすいペン(環境)を提案することから始まるのだと感じました。



今回は今年最後の研修会となります。参加者の方からは、「ここでは、本当に学びになるから参加させて頂いている」とのお話も頂き、開催者として嬉しいお言葉をいただきました。令和8年1月で、私たちの活動も丸6年を迎えます。来年もみなさまにとってのすばらしい機会となるように、講師陣一同頑張ってまいりますので、どうぞお気軽にお越しください。


最後に、みなさま良いお年をお迎えください。








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