第33回ハマチの会のご報告

居宅訪問型児童発達支援の可能性を考える

今回、石井さんが主催されたハマチの会では、「居宅訪問型児童発達支援による行動障害を有する児童への支援」についてのお話でした。強度行動障害のある子どもたちへの新たな支援の形について深く考えさせられる貴重な機会となりました。



印象に残った石井さんの支援哲学

石井さんが一貫して強調されていたのは「嫌われないこと」の重要性でした。どんなに高い支援スキルを持っていても、本人や保護者、学校の先生から嫌われてしまえば支援の継続性はない、という言葉が心に残りました。

また「侵襲性が低い方法」というアプローチも印象的でした。医療分野の概念を支援に応用し、家庭や学校に大きな変化を求めるのではなく、今できる小さな工夫から始める。この考え方は、支援者として忘れてはいけない大切な視点だと感じました。



具体的な事例から学んだこと

研修では、実際に石井さんが支援されている3つのケースが紹介されました。バスタブに飛び込んで底が抜けてしまう中学生、食器棚を倒して家族が怪我をしてしまう高校生、全裸で過ごし激しい噛みつきがある中学生。どのケースも従来のサービスでは対応困難とされた事例でした。

特に印象的だったのは、ABA(応用行動分析)を用いたマンド(要求言語)とタクト(報告言語)の区別による支援方法です。特定の言葉で音楽をリクエストする子どもの事例では、単に要求を通すだけでなく、将来的に社会で通用するコミュニケーション方法へと発展させていく長期的な視点が示されていました。



居宅訪問型児童発達支援の意義

従来、強度行動障害のある子どもたちは「集団に適応できない」として支援の場から排除されがちでした。しかし、石井さんが立ち上げた居宅訪問型の児童発達支援は、そうした子どもたちに新たな可能性を提供しています。

学校や家庭という生活の場で直接支援を行うことで、より実践的で効果的な行動変容を促すことができる。そして何より「短期間で成果を上げる」という制度設計により、集団復帰への道筋を明確に示している点が画期的だと感じました。



支援者としての気づき

質疑応答で印象に残ったのは「保護者が動いてくれない」という質問に対する石井さんの回答でした。「支援できない理由を探すのではなく、別の方法を探す」「保護者を責めている場合ではない」という言葉に、支援者としての姿勢を問い直させられました。

また、PBS(ポジティブ行動支援)やスクールワイドPBSの概念についても詳しく説明され、「怒らない、叱らない、声を出さない」を徹底した環境作りの重要性を改めて認識しました。



今後への期待と課題

全国初の強度行動障害をメインで受ける居宅訪問型事業所として、石井さんの取り組みは多くの注目を集めています。しかし、まだまだ制度的な課題も多く、加算の充実や人材育成など、解決すべき問題は山積みです。

それでも、今回の研修を通じて、強度行動障害のある子どもたちへの支援に新たな光が見えたことは間違いありません。私たち支援者一人ひとりが、この新しい可能性を理解し、地域の支援体制の向上に貢献していくことが求められていると感じました。



おわりに

石井さんの「滑った話はない」という自己評価とは裏腹に、軽妙なトークの中に深い専門性と熱い思いが込められた素晴らしい研修でした。参加者からの活発な質問も多く、この分野への関心の高さを実感しました。

今後も石井さんの実践から多くを学ばせていただきながら、一人でも多くの子どもたちが適切な支援を受けられる地域作りに貢献していきたいと思います。

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