協働体制研修を開催して -つながりの中で見えた相談支援の未来-
今回のチキンの会では、協働体制をテーマとした研修会を開催させていただきました。主催者として、改めてこの取り組みの意義と可能性を実感する機会となりました。
協働体制を構築した背景
この地域の相談支援には、他の地域とは異なる特徴があります。基幹相談支援センターが市の直営で、専用の電話番号すらない状態。委託相談もほぼ機能していない中で、計画相談が本来の役割を超えた対応を求められてきました。
人口44万人の圏域に対し、数多くの相談事業所が存在する一方で、一人事業所が多い地域です。特に、委託相談はなく、基幹相談支援センターも各市の直営であり、福祉課の職員が基幹相談支援センターの職員を兼ねているといった、役割が限定される地域でした。結果、すべての相談支援センターの役割を「計画相談」が担う必要があり、希望によって「情報格差」や「スキル格差」が生まれていました。このままでは、相談支援専門員の質の向上を図ることができない現実と、将来への不安により孤立が生じたり、疲弊してしまう。そんな危機感から、私たちは協働体制という選択をしました。
【協働体制・・・複数事業所の協働による相談支援の体制整備】
(引用:日本相談支援専門員協会 政策委員会 資料 令和4年4月)
私たちは4事業所間で「指定特定相談支援事業所間一体的管理運営のための協定書」を結んでいます。
この一年で得たもの
週に一度、毎週月曜日の10時半から12時まで、4つの事業所が集まって会議を続けてきました。正直、一人でやっていれば必要のない時間です。しかし、この時間が私たちにもたらしたものは計り知れません。
情報共有の質の変化
福岡市、大野城市、那珂川市と異なる地域の事業所が集まることで、各自治体の動きや社会資源の情報が自然と共有されるようになりました。一人では決して得られなかった視点や選択肢が増えました。
人材育成の加速
初任者研修を取ったばかりの新人が、一年で驚くほど成長しました。複数の視点に触れ、さまざまな事例検討やGSVを経験することで、私たちが5年かけて学んだことを、はるかに短期間で習得している実感があります。
行政との関係性の変化
対立構造から協力関係へ。協働体制を組むことで、地域課題への意識が高まり、行政との付き合い方が変わりました。一周年記念講演会には3つの地域の行政窓口の方が来てくださり、協力体制が目に見える形になっています。
決して楽ではない道
時間的な負担は確実に増えました。加算はついても、思っていたほど売上は増えていません。なぜなら、多い時は月の半分近くが計画相談以外の協働体制としての何らかの役割で埋まり、計画相談として使える時間はこれまでよりも減っています。
それでも続ける理由は何か?研修の最後に共同体メンバーに「加算がなくなっても続けるか?」と問いましたが、全員が即答で「続ける」と答えてくれました。なぜなら、事業所を超えた信頼関係が構築できていること、目的は加算ではなく、「最高品質の相談支援を提供すること」であり、加算は手段に過ぎないと考えているからです。
相談支援の未来のために
一人で支援を続けることの限界を、私たちは知っています。5年、10年とこの仕事を続ける中で、一人で抱え込むことの不安や、成長の頭打ち感を経験してきました。
協働体制は万能ではありません。しかし、つながることで得られる安心感、学び合いの文化、地域への責任感は、この仕事を持続可能にする大きな力になると確信しています。
参加した皆様の声
24時間体制への不安の声もいただきましたが、実際には夜間の呼び出しはほとんどありません。当たり前の計画相談としての前さばきをしっかりすることで、計画相談に求められる役割は明確になります。
共同体は、お金のためだけに組むものではありません。同じ課題意識を持ち、この地域の相談支援を本気で良くしたいと思える仲間と出会えるかどうか。それが成功の鍵だと思います。
今後も、この地域で協働体制の輪が広がり、相談支援専門員が孤立せず、互いに支え合いながら成長できる文化が根付くことを願っています。そして、次の世代にも誇れる相談支援体制を、皆さんと一緒に作っていきたいと思います。
ご参加いただいた皆様、本当にありがとうございました。
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