CWSAの設立当初の想いと歴史について



私たちのはじまり

 平成30年3月27日(金)午後7時、のちに一般社団法人福岡・筑紫地区地域福祉支援協会に発展する最初の集まり『福岡県筑紫地区計画相談支援実務者研究会(現、福岡筑紫地区計画相談支援研究会)』がケンタッキーフライドチキン春日店にて開催されました。このとき集まったのは、計画相談や基幹相談支援事業所あわせて7団体。その多くがひとり相談支援事業所でした。後に「チキンの会」と呼ばれる理由でもあるケンタッキーフライドチキン春日店に夜な夜な集まった者同士が話をするという会でしたが、本当に当時の私たちには必要不可欠な集まりだったなと、鮮明に思い返すことができます。


 あの頃の私たちは、計画相談がこの地域で始まったばかりで、誰もが見様見真似で業務に取り組んでおり、自分の所属している法人内にも計画相談に対する理解者は誰もいない、暗闇のような孤独の中で、毎日鳴り止まない依頼の電話に向き合う日々でした。業務に忙殺されるなかで、現場で働く相談支援専門員の多くは、徐々に疲弊し、メンタルを病み、誰もが「逃げ出したい」「辞めたい」という想いを抱えながらの毎日を送っていました。そんな黎明期の相談支援事業所に従事する相談支援専門員が、自らのオアシスを求めるように一同に集まり、そして交流を図る場所が生まれました。少なくともそこに集まっていた相談支援専門員にとっては、唯一のお互いに共感し合える安心できる場所だったに違いありません。あのとき、この「チキンの会」と呼ばれる集まりがあったからこそ、当時、多くの計画相談支援事業所が数年で事業所を閉鎖するなかで、未だこうやって現在に至るまで、私たちは意欲やモチベーションを維持しながらここまで継続できたのです。以降、回数を重ねるたびに徐々に参加希望者も増え続け、近隣地区を含めた多くの相談支援専門員が集まる会になりました。


 多くの相談支援専門員たちが横のつながりを持つことで、当時、地域に社会資源が乏しかったここ筑紫地区においても「連携の輪」が広がり、その輪は、最終的に当時、筑紫地区には存在しなかった「基幹相談支援センター」としての機能や役割を担うまでになりました。その中で、主催者であった私自身も、地域福祉を担う支援者をサポートする「より公益性の高い活動を行う団体の必要性」を感じ、それまでの任意団体から一般社団法人化への移行を決意。そして、平成31年2月、『一般社団法人福岡・筑紫地区地域福祉支援協会』を設立。地域の中堅・ベテランスタッフの仲間たちとともに、研修分野の範囲をさらに広げて、計画相談だけではなく、就労分野、児童分野、対話の分野に広げて2ヶ月に1回のペースで研修会を開催。また、医療連携や医療的ケア児者に対する単発の研修会の開催、さらにはグループホーム、訪問看護といった研修の分野を拡大してきました。当時は、毎月2〜3回の研修会が、この筑紫地区において開催されており、このような自主的な集まりによる研修会を行う法人格を持った団体は、他の地域においても珍しいとのことでした。この相談支援専門員のつながりは、のちに計画相談支援事業所が少ない地域を中心に全国的に広がっていくのです。


 他にもコロナ前には、地域の事業所を一堂に集めた交流会を開催し、多い時には、120名を超える福祉従事者にご参加頂き、盛大な交流会を開催したこともありました。研修会は、コロナ禍においてでも休むことなくオンラインにて開催。3密を防ぐという目的で「つながり」を奪われ、まさに孤立していた相談支援専門員をはじめとした多くの支援者を救うことにもつながり、現在においても、私たちはそれぞれの地域福祉を担う支援者として、この地区で従事し続けています。令和4年には、研修会通算100回を迎えることができました。毎回の研修には、10から30名程度の方々にお越し頂き、講義形式の研修やケース検討、対話による意見交換などが現在でも開催されています。このつながりは、福岡市内や周辺地区にも広がり、それぞれの地区で新たな団体が設立するきっかけにもなっており、私たちもCWSAとして協力を行っています。




支援者の、支援者による、支援者のために

 私たちの活動は、当事者やそのご家族向けではなく、あえて地域で、実際に法人や事業所に所属して勤務している、直接的に地域福祉を担う「支援者のための団体」として設立しました。そのため、支援者の皆さんが利用しやすいように取り組んでいます。例えば、私たちが開催する研修は、できるだけ多くのみなさんが気軽にお越し頂きやすいように、業務終了後の夕方以降の時間帯で開催しています。もちろん、子育て世代の支援者の方にとっては、利用しづらい面はありますが、そのために、オンラインによる配信又はアーカイブ配信サービスもいち早く提供しており、自宅にいながらにして参加・視聴することができる体制を整えています。そして、会場にお越しになる場合もで、業務やご家庭の都合で「途中参加」「途中退席」が前提のご利用も歓迎しています。なぜなら、支援者を支援するため、言い換えると、気軽に参加できることを最優先に考えているため、「時間の途中だから」「先に帰る必要があるから」といったお気遣いをしなくてよいルールにしています。私たちは、日頃の業務を通じて、つながりの大切さを理解しています。であるからこそ、「参加すること」「顔がみえること」こそがとても重要だと考えているのです。かといって、皆さんに参加を無理強いすることもありませんし、強制もありません。「来たい時に来る」を大事に現在も運営を行っています。最近は、法人として「外部研修」の一環としてご利用頂いている事業所さんもあります。私たちの主催する研修に普段から参加している方々は、他の研修等でお会いしても、必ずといって良いほど中心的な役割を担っている方が多いのも特徴です。何気ない毎月の研修参加によって、自分の意見を皆さんの前で表明することに抵抗がなくなっている自分に気づくことになるでしょう。それだけ、「誰からも否定されない」「それぞれの意見を尊重してもらえる環境」であることの心地よさが、きっとご参加頂くことでわかってもらえると思います。ここに来れば、運営で困っている方にとっては、的確なアドバイスをもらうことになったり、実施前の制度や施策に対する情報の共有、運営に必要な資料やテンプレートなどを惜しげもなくもらえたり、普段は見ることができない事業所の見学を快く受け入れてくれたりすることもあります。参加する誰もが、懐が深いことも、この会の特徴かもしれません。女性の参加者も多くいますので、女性ひとりでも安心してご参加頂けます。



この地域で働く支援者が、安心して働き続けることができるために

私たちはこれまで、中堅やベテランと呼ばれた支援者が、所属していた法人を退職し、この地区から離れていくといった悲しい出来事に数多く直面してきました。「この地区には、あの人がいるから。」といったように、中堅やベテランの職員さんの存在は、法人内に止まらず、地域の福祉人材として大切な社会資源でもあることに改めて気付かされるのです。そういった方々が所属法人を退職することで、私たちのいる地域からいなくなるといった問題は、その法人のみの損失ではなく「地域にとっての損失」であることを私たちは自覚するべきです。だからこそ、この地域に私たちのような支援者を支援する団体があることで、共に学びを得たり、悩みを打ち明けることで、明日からの支援につながる意欲やモチベーションを維持することに繋がればと考えるのです。地域の支えが必要なのは、利用者やご家族だけではなく、私たち地域福祉を担う支援者にとっても必要だと感じます。そのためには、私たちは、みなさんと共に「学び」「考え」「対話する」ことが重要だと思うのです。私たちは、決して皆さんに「独立」や「転職」を促しているわけではありません。逆に、私たちの研修会でリクルートすることについては、この団体に参加するルールとして明確に禁止にしています。しかし、いくら禁止していたとしても、自分の所属する法人が、他の法人と比較して見劣りするような状況であれば意味はありません。お互いに情報を開示し、お互いが切磋琢磨することも、地域で継続して働く支援者にい続けてもらうことにつながるのです。まずは、他者を知り、自分の立ち位置を知ることが重要だと思います。また、新しく設立したばかりの法人や事業所は、私たちの地域にとって、今後の地域福祉を担う重要な社会資源となって頂きたいと思っています。そのための営業活動の協力や周知といった運営のサポートは、私たちも喜んで協力させていただきますので、どうぞお気軽にご参加ください。




各分野の研修担当は、すべてボランティアです

 なぜ、私たちの研修会が、地域でこれほどまでの回数を開催し続けることができるのか?その答えは、法人化したことに加えて、「現場で尽力している支援者のちからこそが、地域の福祉を担っていること」を、誰よりも理解している中堅・ベテラン支援者が、各研修を担当してくれているからです。例えば、これまでもたくさんの任意団体や研修団体はありましたが、時間を重ねることで、徐々に集まる頻度が減り、自然消滅していくことがほとんどでした。その背景には、時間の経過とともに、そのモチベーションも薄れていくという課題に直面するのです。そのため、私たちはあえて法人格を取得し、毎年、必ず「税金」を支払うための原資を得るために、必ず皆様に研修を提供し、会費や参加費を頂くことを自らに課したのです。「自らのお尻を叩きながら、研修を継続する」ことで、この地域で今まで休まず研修を継続するというモチベーションを維持しています。また、それぞれの分野の研修担当者は、手弁当で自主的に参加し、「地域貢献のひとつとして」「自分の学びとして」「人脈を広げる手段として」、率先して研修に取り組んで頂いています。もちろん、2ヶ月に1回(現在は3ヶ月に1回)というペースは、普段の支援業務を行いながら、テーマや内容を考える必要がある以上、大きな負担に感じることも当然あります。しかし、自分の大切な役割として取り組むことで、最終的には担当する方々自身の学びにつながることをそれぞれの担当者は理解しているのです。そういった、自分だけではなく、地域のためにという思いを持ったモチベーションの高い方々にそれぞれの研修を担当して頂いているからこそ、そういった方々と身近な環境でつながる場として、皆さんに活用して頂きたいのです。また、みなさんの身近で、同じように支援者として働く方々ですので、きっと皆さんの悩みや苦しみも共感してもらえるはずです。それこそが、この研修会の魅力ではないでしょうか?きっと、あなたにとっての、尊敬できるスーパーバイザーが見つかることだと信じています。




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